【発売情報】
本日、モーストリー・クラシック2019年7月号が発売になりました
同時に、Webサイト http://mostly.jp/ も更新。目次、おすすめアーティストなどチラ読みができるほか、バックナンバーのページでは、デジタル書籍も購入できます。ぜひ、サイトにお立ち寄りください


【モーストリー・クラシック7月号の主な内容】

表紙 第15回チャイコフスキー国際コンクール、アシュケナージ、諏訪内晶子、トリフォノフ、クレーメル

特集 世界の音楽コンクール
 国際音楽コンクール世界連盟に加盟しているコンクールだけでも世界に122もある。日本も世界もコンクールだらけだ。あまり知られていないコンクール1つに入賞したぐらいでは注目されず、演奏家としてやっていくことはまず無理だ。それゆえ若き音楽家は次々とコンクールを目指す。
 6月17日に開幕するのはチャイコフスキー国際コンクール。第1回コンクールは1958年に行われた。実行委員長はショスタコーヴィチ、ピアノ部門の審査委員長はエミール・ギレリス。ヴァイオリン部門の審査委員長はダヴィド・オイストラフ。ソ連の威信を見せつけるはずだったが、ピアノ部門の優勝者はアメリカのヴァン・クライバーン。クライバーンの先生ロジーナ・レヴィンはロシア出身。ロシア・ピアニズムをたたき込まれたクライバーンを、審査員も聴衆も支持したのだ。逆にこのことがチャイコフスキー・コンクールを世界に知らしめたのかもしれない。
 チャイコフスキー・コンクールは日本人と相性がいい。第1回コンクールでピアノの松浦豊明が7位に入ったのを皮切りに、小山実稚恵が第7回(1982年)で3位、2002年の第12回で上原彩子が優勝を勝ち取る。ヴァイオリン部門のほうが入賞者は多い。第2回(1962年)で久保陽子が3位で初めて入賞、以後、潮田益子、佐藤陽子、藤川真弓らが入り、第9回(1990年)で諏訪内晶子が優勝を果たす。さらに第13回(2007年)にも神尾真由子が優勝した。
 ピアノコンクールの最高峰と言われるのはショパン国際ピアノコンクール。ショパンの祖国ポーランドの首都ワルシャワで5年に1度開催される。第1回コンクールは1927年、ソ連のレフ・オボーリンが優勝した。実はこの第1回にショスタコーヴィチも参加していた。コンクール直前に急性虫垂炎にかかるアクシデントに見舞われ、入賞はならなかった。
 ショパン・コンクールは後世に残るピアニストを輩出してきた。アシュケナージ、ポリーニ、アルゲリッチは現役で活躍、ツィメルマン、ブレハッチらと続き、直近の第17回(2015年)では韓国のチョ・ソンジンが優勝を飾った。チョは2009年の第7回浜松国際ピアノコンクールでも優勝している。
 ショパン・コンクールでは日本人優勝者は出ていない。第8回(1970年)の内田光子の2位が最高位で、第11回(1985年)4位の小山実稚恵、第12回(1990年)3位の横山幸雄らがいる。小山はショパンとチャイコフスキー両コンクールで入賞した唯一の日本人。
 ほとんどの演奏家がコンクールを足がかりに世に出る一方、コンクールをほとんど経験しない飛び抜けた才能を持つ音楽家も一部にいる。たとえばデビュー盤のバッハ「ゴルトベルク変奏曲」が大ヒットしたカナダのグールド。地元の小さいコンクール歴はあるが、キャリアが飛躍したのは「ゴルトベルク」からだ。もう一人、ピアニストではソ連出身のキーシン。11歳でリサイタル・デビュー、12歳で協奏曲デビューするなど、圧倒的な才能はコンクールを受ける必要がなかった。ヴァイオリニストのムターも神童で早熟だった。13歳でルツェルン音楽祭に出演し、カラヤンに認められ、ベルリン・フィルのソリストに起用された。カラヤンはヴァイオリン協奏曲の録音に必ずムターを使った。このように巨匠が若い音楽家を育てたケースもある。
 このほか、難関とされるミュンヘン国際音楽コンクール、ジュネーヴ国際音楽コンクール、小澤征爾、佐渡裕、沼尻竜典らを輩出したブザンソン国際青年指揮者コンクール、声楽部門が加わったロン=ティボー=クレスパン国際音楽コンクールなどさまざまなコンクールを取り上げている。
 他に、◎コンクールは何のために◎ソ連時代に行われた全ソ音楽コンクール◎ピアノメーカーの戦いでもあるコンクール◎ブーニン・ブームとは何だったのか◎日本のさまざまなコンクール、などです。

特集で紹介したDVD、CDのプレゼントもあります

宮本文昭の気軽に話そう ゲスト クラリネット 四戸世紀
 読売日本交響楽団の首席奏者を務め、現在は東京音楽大学教授の四戸世紀。海外に出たきっかけが驚きだ。「ベルリン・フィルのカール・ライスターが来日したとき、どうしてもレッスンをしてほしかったので、パーティーで恐る恐るお願いしたんです」と話す。そして、モーツァルトを10分くらい吹いただけで、弟子にするからベルリンに来ないか、と誘われた。「人生が変わっちゃいましたね。しかも奨学金がもらえて、ベルリン・フィルのリハーサルも自由に聴けるわけですから行かないわけがない」といきさつを話している。

ステージ 河村尚子 ピアノ
 ドイツと日本を拠点に活躍を続ける河村尚子。このほどソニーからベートーヴェンのピアノ・ソナタ集のCDをリリースした。ピアノ・ソナタ第4番、第7番、第8番「悲愴」、第14番「月光」が収められている。今秋にはピアノ・ソナタ第23番「熱情」などを入れた第2彈をリリースする予定になっている。また、今秋公開予定の映画「蜜蜂と遠雷」では、主人公、栄伝亜夜のピアノ演奏を担当している。映画で一般の方々に芸術に関心をもってもらう良い機会、と喜ぶが、「娘をピアニストにさせたい、という楽観的な希望を持ってもらいたくないのです。ものすごくハードな職業だからです」と話した。


このほか
◎青島広志の「ブルー・アイランド版音楽辞典」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎「鍵盤の血脈 井口基成」中丸美繪
など、おもしろい連載、記事が満載です。

次号予告
2019年6月20日(木)発売の2019年8月号は「シューベルトの3大歌曲集 リートの魅力」を特集します

お楽しみに~