【発売情報】
本日、モーストリー・クラシック2018年12月号が発売になりました
同時に、Webサイト http://mostly.jp/ も更新。目次、おすすめアーティストなどチラ読みができるほか、バックナンバーのページでは、デジタル書籍も購入できます。ぜひ、サイトにお立ち寄りください


【モーストリー・クラシック12月号の主な内容】

表紙 ムソルグスキー、ラヴェル、ベートーヴェン、マーラー


特集 原曲を越える?! 編曲の面白さ
 ムソルグスキーのピアノ組曲「展覧会の絵」と、ラヴェルによる管弦楽へ編曲された「展覧会の絵」のどちらを、よく耳にしたことがあるでしょうか。クラシック音楽には原曲と同じように親しまれている編曲作品がたくさんあります。
 ムソルグスキーは1874年、「展覧会の絵」を作曲しました。友人の画家ガルトマンの遺作展を見て、インスピレーションを受け作曲されたものですが、生前は演奏されず、リムスキー=コルサコフによる編曲版が出版され、知られるようになりました。ラヴェルは1922年、ボストン交響楽団の指揮者クーセヴィツキーの依頼で、管弦楽版を作りました。これが世界で一気に「展覧会の絵」が広まるきっかけとなったのです。「展覧会の絵」は作曲家や指揮者の想像力をたいそう刺激する作品でした。それはその後も多くの編曲が生まれたことから分かります。指揮者ストコフスキー、日本の近衛秀麿、ロシアの作曲家ゴルチャコフなど枚挙にいとまがありません。ロックバンド、エマーソン・レイク・アンド・パーマーが出したロック版(71年)は、ポピュラー・ファンにも「展覧会の絵」が広まるきっかけになりました。
 バッハの毎日はとても忙しいものでした。教会の楽長を務め、毎週末の礼拝のために教会カンタータなどの音楽を書かなければいけません。ライプチヒでは、毎週、自主演奏団体コレギウム・ムジクムの指揮をし、作品を提供するなど、時間はいくらあっても足りません。ですから、自身の作品の編曲、旧作からの改変、転用などがたくさんあります。集大成の「ミサ曲ロ短調」の第1部「ミサ」の全11曲は、1733年にザクセン新選帝侯アウグスト2世に献呈された「ミサ・プレヴィス」を、ほぼそのまま転用しています。音楽ジャーナリストの寺西肇氏は「何よりも、良い素材(=旋律)を十分に生かし切りたい、との思いが強かったのではないか」と指摘します。バッハを編曲した作品でもっとも知られているのは「G線上のアリア」。ドイツのヴァイオリニスト、ウィルヘルミにより「管弦楽組曲第3番」の第2楽章「アリア」を、ヴァイオリンの最低弦G線だけでメロディーを弾けるように、編曲しました。
 民謡や伝統音楽も著名な作曲家によって編曲されています。よく知られているのはブラームスの「ハンガリー舞曲」と、ドヴォルザークの「スラヴ舞曲」。いずれも民族色を感じさせる美しいメロディーで、たちまち大ヒットしました。ハンガリー舞曲は、本当のハンガリーの民謡ではなくロマの音楽で、ブラームスは編曲と考えていました。しかし、「スラヴ舞曲」はドヴォルザークの創作。「ドヴォルザークは編曲している振りをしながら、実はそこで自分の音楽性を伸び伸びと歌い発展させている」と音楽評論家、江藤光紀氏。
 他に、◎ベートーヴェン「第九」の編曲◎「ニーベルングの指環」のオーケストラ編曲◎チャイコフスキーと編曲◎指揮者・作曲家としてのマーラーの編曲◎音楽の都、ウィーンの編曲の伝統、などです。


特集で紹介したDVD、CDのプレゼントもあります


BIGが語る 大野和士 指揮 
 新国立劇場の音楽監督に就任した大野和士。10月のモーツァルト「魔笛」から新シーズンが始まった。就任にあたって5つの目標を掲げている。第1は「レパートリーの拡充」。「新制作を年間3演目から4演目に増やします。これまで上演した新制作のいくつかは、レンタル・プロダクションで、上演すると返してしまうのでレパートリーが蓄積されません」と話す。今シーズンは「ツェムリンスキー「フィレンツェの悲劇」、プッチーニ「ジャンニ・スキッキ」、「トゥーランドット」が予定されている。ほかに、「日本人作曲家への委嘱」、「1幕物オペラの新制作」、「旬の演出家や歌手をリアルタイムで聴衆に届ける」、「内外の他の歌劇場とのコラボレーション」という目標を掲げての船出となった。

宮本文昭の気軽に話そう  ゲスト 塚田佳男 ピアノ
 日本歌曲伴奏の第一人者として活躍を続ける塚田佳男。初めは歌手を目指していた。「芸大在学中は声楽を勉強していて、そのまま二期会の研究生になったのですが、周囲がとにかく才能豊かな人ばかりでしたから、早々に歌の道はあきらめて彼らの伴奏をしていたのです」といきさつを語る。その後、ドイツに留学。今は奏楽堂日本歌曲コンクールの審査委員を務めるなど、日本歌曲の歌唱、伴奏法の指導にも力を入れる。しかし、「日本歌曲の歌唱法の確立にはまだ時間がかかりそうです」と話している。

このほか
◎青島広志の「ブルー・アイランド版音楽辞典」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎「鍵盤の血脈 井口基成」中丸美繪
など、おもしろい連載、記事が満載です。


次号予告
2018年11月20日(火)発売の2019年1月号は「『第九』とベートーヴェンの交響曲」を特集します

お楽しみに~