【発売情報】
本日、モーストリー・クラシック2018年6月号が発売になりました
同時に、Webサイト http://mostly.jp/ も更新。目次、おすすめアーティストなどチラ読みができるほか、バックナンバーのページでは、デジタル書籍も購入できます。ぜひ、サイトにお立ち寄りください


【モーストリー・クラシック6月号の主な内容】

表紙 ブルックナーとマーラー

特集 交響曲作曲家の系譜 ブルックナー&マーラー
 現在、オーケストラの主要なレパートリーであるブルックナーとマーラーの交響曲。後期ロマン派を代表する2人で、ブルックナーは1824年にリンツ郊外で生まれ、96年に亡くなった。マーラーはボヘミア・カリシュトで1860年に生まれ、1911年に亡くなっており、2人の活動の時期は重なる。
 ブルックナーは交響曲第9番の4楽章を亡くなる当日まで作曲していた。書いた交響曲は1番から9番までかというとそうではない。交響曲00番と0番がある。00番は1863年に完成したブルックナー最初の交響曲。しかし、本人が「習作」と書き入れたため00番となった。0番はその次の交響曲ではなく、第1番の後、69年に作曲されている。かつては0番を第2番と称していたが、自筆譜に「無効」と書かれているため0番となっている。
 ブルックナーの交響曲は複数の「稿」があるものが多い。その生涯は改訂の連続だった。たとえば交響曲第2番は、1872年に初稿(1872年稿)が完成し、翌年、ウィーン・フィルで初演されたのは1873年稿。そして再演に向けて改訂された1877年稿があり、92年には初稿の出版に際し、細部を改訂した。さらにハース版、ノヴァーク版、ギャラガン版が出版されている。「異稿、異版が多いのは、自らの作品に対して真摯かつ真剣に対峙しつづけた作曲家だったということを示している」と中村孝義・大阪音大名誉教授。
 一方、マーラーは交響曲第10番の作曲途中で亡くなった。第1楽章はほぼ完成されており、妻アルマがクルシュネクに補筆を依頼した。ほかにクック版やカーペンター版がある。第8番と第9番の間にあるのが「大地の歌」。第9番はベートーヴェン最後の交響曲のため、不吉な数として9番ではなく、「大地の歌」とした。これは、中国の李太白や王維らの詩をテキストに使い、6楽章全楽章で歌われる特異な曲。「西欧のヒューマンな目的意識の限界を東洋の諦観で見直そうとした壮大な試み」と音楽評論家の喜多尾道冬氏。
 マーラーは生前、作曲家としてより指揮者として著名だった。優れた指揮能力を持ち、プラハやライプチヒなどを経て、ユダヤ人でありながらトップのウィーン宮廷歌劇場の芸術監督に上り詰めた。作曲は指揮活動がない夏休みに集中的に行った。そして「彼は、誰に強いられたり注文されたりしたわけでもなく、自分が書きたいような曲を書いた」とドイツ文学者の許光俊氏。
 特集では2人の作品の解説と名盤、指揮者を紹介している。
 他に、◎ブルックナー交響曲の特質◎チェリビダッケ、朝比奈隆とブルックナー◎◎マーラーのアマチュア性と交響曲◎アルマ・マーラーという女◎バーンスタインとマーラー、などです。

特集で紹介したDVD、CDのプレゼントもあります

東京・春・音楽祭2018
 東京・春・音楽祭2018が3月16日から4月15日まで、東京・上野の東京文化会館を中心に1カ月間にわたり開催された。有料公演約50、無料公演約100という大規模な音楽祭。今年は14回目で、東京の春の風物詩としてすっかり定着した。この音楽祭の目玉、ワーグナーの「ローエングリン」を指揮したライプチヒ歌劇場総監督のウルフ・シルマーは「ワーグナーのオペラから室内楽、リートの演奏会まで幅広いジャンルで回数も多く、ヨーロッパの本格的な音楽祭のよう」と評した。
 もう一つ、音楽祭名物となっているのはマラソン・コンサート。今年は、ヨーロッパ文化史研究家の小宮正安氏が「ロッシーニとその時代~混乱の世を生き抜く知恵と音楽」を企画。午前11時から午後8時まで、5部にわたりコンサートが行われた。来年のオペラは「さまよえるオランダ人」が公演される。


宮本文昭の気軽に話そう ゲスト 隠岐彩夏 ソプラノ
 2016年の日本音楽コンクールで第1位を獲得したソプラノ。宗教音楽を演奏する機会が多いという。声楽の道に進んだきっかけがバッハの「マタイ受難曲」で、合唱団で歌った。また、母校、東京芸大の「芸大メサイア」のソリストも務めた。来年1月にはニューヨークに留学する。「この機会にレパートリーを見直したり開拓したりできればいいなと思っています。特にプッチーニのオペラには、自分のものにしたい役があります」と話した。


このほか
◎青島広志の「ブルー・アイランド版音楽辞典」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎「鍵盤の血脈 井口基成」中丸美繪
など、おもしろい連載、記事が満載です。

次号予告
2018年5月19日(土)発売の2018年7月号は「ドビュッシー没後100年 19世紀のパリ」を特集します

お楽しみに~

【発売情報】
本日、モーストリー・クラシック2018年5月号が発売になりました
同時に、Webサイト http://mostly.jp/ も更新。目次、おすすめアーティストなどチラ読みができるほか、バックナンバーのページでは、デジタル書籍も購入できます。ぜひ、サイトにお立ち寄りください


【モーストリー・クラシック5月号の主な内容】

表紙 ブラームス、シューマン、クララ・シューマン

特集 ブラームスを聴き直す
 ドイツ・ロマン派の巨匠ブラームスの生涯と作品を特集で改めて追っている。ブラームスは1833年、ハンブルクに生まれた。父はコントラバス奏者だったが、家は貧しく、ピアノを習ったブラームスは12歳のころから家計を助けるためにレストランなどで演奏をしていた。53年、シューマンとの出会いが運命を大きく変える。友人のヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムらの勧めもあり、シューマン宅に赴き、自作のソナタなどを演奏した。すぐに才能を理解したシューマンはペンをとり「新音楽時報」でブラームスを紹介、さらにブライトコプフ・ウント・ヘルテル社に働きかけて楽譜出版の仲介もしている。62年、ウィーンに住まいを移し、大作曲家への道を歩み始める。
 ブラームスは4曲の交響曲、ヴァイオリン協奏曲、2つのピアノ協奏曲、ピアノ・ソナタとヴァイオリン・ソナタは3曲ずつなどを残した。今日までブラームスがオーケストラのレパートリーから外れることはなく、演奏家にとって必須のレパートリーとなっている。ドイツ文学の許光俊氏は「ブラームスはなぜみんなに愛されるのか」と題した原稿の中で「ブラームスの交響曲は変化に富み、さまざまな面を持つ。つまり、いろいろな解釈を受け入れる。ドイツ風の重厚な演奏でも、イタリア風の甘美に歌う演奏でも、あるいはロシア風のパワー感が強い演奏でも、魅力的な音楽として成立する」と魅力を綴っている。
 ブラームスは1972年、ウィーン楽友協会の芸術監督に就任するまでに出世した。オーストリア政府が有望な若手に奨学金を与える制度を作り、その審査員を務めていた。そこへチェコのドヴォルザークが「モラヴィア二重唱曲」で応募した。才能を認めたブラームスはすぐに奨学金の支給を決定、そしてジムロック社で楽譜を出版させた。さらにブラームスは自分の「ハンガリー舞曲集」と同じ民俗舞曲集を作曲することを勧め、ドヴォルザークは「スラヴ舞曲集」で一躍名前を知られることになった。
 音楽評論家の萩谷由喜子氏はブラームスのドヴォルザークに対する行動について「何よりもブラームス自身が無名時代の20歳のとき、シューマン夫妻と出会ってその才能を認められ、シューマンの破格の好意で初出版を実現させてもらい、最大級の賛辞をもってヨーロッパ音楽界に送り出してもらった僥倖を生涯忘れなかったからではないか」と書いている。
 特集は他に、◎ブラームス・プロジェクトを進めるパーヴォ・ヤルヴィ◎ピアニスト、ブラームスとピアノ作品◎クララ・シューマンの実像◎ブラームスの名演奏家、伝説の指揮者◎ブラームスとクラリネット、などです。

特集で紹介したDVD、CDのプレゼントもあります

マンスリー・ベルリン・フィル
 今月は早稲田大学交響楽団のベルリン公演を取り上げている。3月4日、早稲田交響楽団(ワセオケ)はベルリン・フィルの本拠地、ベルリン・フィルハーモニーで公演を行った。ワセオケとベルリン・フィルの接点は1978年にさかのぼる。ヘルベルト・フォン・カラヤン財団が主催した第5回国際青少年オーケストラ大会が開かれ、「春の祭典」を演奏したワセオケが優勝した。プロを目指す並みいるヨーロッパのユース・オーケストラを制した優勝は、話題となった。カラヤンは翌79年、早稲田大学から名誉博士号を授与され、大隈講堂で行われたワセオケの公開リハーサルを指揮している。両者の関係は続き、ワセオケは12回もベルリン・フィルハーモニーのステージに乗っている。

宮本文昭の気軽に話そう ゲスト 小澤真智子 ヴァイオリン
 ニューヨークを拠点にクラシックからタンゴまで弾きこなすヴァイオリニスト。タンゴとの出会いは、ニューヨークのジュリアード音楽院でアルゼンチン出身のピアニストに出会ったのがきっかけ。「アルゼンチンへ行くと、いたるところでタンゴが聴こえてきますし、踊っている人もたくさん見かけます。タンゴはこの国そのものなんだなあと実感できますね」と話している。


このほか
◎青島広志の「ブルー・アイランド版音楽辞典」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎「鍵盤の血脈 井口基成」中丸美繪
など、おもしろい連載、記事が満載です。

次号予告
2018年4月20日(金)発売の2018年6月号は「シンフォニスト(交響曲作曲家)の系譜ブルックナーとマーラー」を特集します

お楽しみに~

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【モーストリー・クラシック4月号の主な内容】

表紙 ワルター、クルレンツィス、グールド、ロンドー

特集 伝統、正統性とは 演奏スタイルの変遷
  果たして演奏スタイル、演奏法に伝統的な演奏や正統的なスタイルといったものがあるのだろうか。また、ドイツ的、フランス的な演奏といわれるが、それはどういったものなのだろうか。これらの疑問を解決するために組んだ特集。
 桐朋学園大学の西原稔教授は「録音で聴く往年の演奏は味がある。しかし、左右の手の拍の音をずらした演奏やポルタメント、自由なテンポ・ルバートは、20世紀後半に入ると古色蒼然とした過去の演奏スタイルとして忌み嫌われた。だがこの往年の演奏は誤りなのであろうか。むしろ、拍を合わせるのではなく、拍をずらすのはバロック時代以来のもっとも正統的な演奏法であり、一糸乱れぬ拍通りの演奏は20世紀まで存在しなかった」と指摘する。
 19世紀、20世紀前半まではロマンティックな演奏で、演奏家は勝手に楽譜を変更して演奏していた。その反動として楽譜に忠実にノイエ・ザッハリヒカイト(新即物主義)な演奏が生まれた。演奏家の時代でもあった20世紀は、トスカニーニ、フルトヴェングラー、カラヤン、バーンスタインらスター指揮者が聴衆を魅了した。
 カラヤンに師事した東京シティ・フィル常任指揮者などを務める高関健は「トスカニーニとフルトヴェングラー、そしてカラヤンはそれぞれそんなに遠いところにはいないのです。実は彼らの基本に、とてもオーソドックスな誰にも文句を言わせない演奏法があるのです。これは新即物主義と共通する部分がありますが、このスタイルで弾かれた演奏を聴いてもあまり面白くないし、個性を感じられません。それに比べると、トスカニーニなど一流の演奏家はもっと違うところで勝負をしています。いい演奏というのは逸脱しており、飛び出しているところがあるのです」と話す。
 演奏家は子供のころから楽譜通りに演奏する訓練を積み重ねる。しかし楽譜に忠実に演奏することが正しいのだろうか。指揮者でもあったマーラーやワーグナーがシューマンやベートーヴェンの楽譜に手を入れている。作曲家の吉松隆は「自分の曲を演奏してもらうとき、おそらく演奏家に一番よく言うのが『楽譜通り弾かないで(弾こうと思わないで)下さい!』というセリフだ。勿論それは、楽譜を無視して弾いていいという意味ではない。楽譜に書いてある音を『正確に均質に安全に弾く』ということにこだわらず、楽譜の向こうにある『音楽』を感じ、それを優先して欲しい。楽譜はそのためのガイドに過ぎない、という意味だ」という。
 21世紀の演奏は多様化している。古楽の発展の影響も大きい。古楽の演奏方をモダン楽器のオーケストラが取り入れることは普通になった。音楽ジャーナリストの寺西肇氏は「作品の時代に特有の語法を踏まえるのは常識に。かたや、古楽の世界で声高に叫ばれた『オーセンティシティ(正統性)』という言葉を、耳にする機会は激減した。垣根は取り払われつつある」とする。
 20世紀から活躍するアファナシエフやポゴレリチ、ギリシャ出身の指揮者クルレンツィス、モルドヴァのヴァイオリニスト、コパチンスカヤ、ピアノのタローやブニアティシヴィリ、チェンバロのロンドーら異能の活躍が21世紀の演奏スタイルをさらに変化させていくに違いない。
 他に、◎トスカニーニ、フルトヴェングラーからカラヤンへ◎ウィーン・フィルの伝統と演奏の変遷◎ショパンの演奏スタイルの変遷◎フランス的な演奏とは何か◎オーケストラの楽器配置の変遷◎国際コンクールと演奏の正統性をめぐって、などです。

特集で紹介したDVD、CDのプレゼントもあります

BIGが語る エリーザベト・レオンスカヤ ピアノ
 ピアノの巨匠エリーザベト・レオンスカヤが4月、東京・春・音楽祭2018で、6夜にわたるシューベルト・チクルスを行う。完成した楽章を持たない第8番、第10番、第12番以外のすべてのソナタを演奏する。レオンスカヤはジョージア出身でモスクワ音楽院に進み、リヒテルの薫陶を受けた。1978年にウィーンに移住。世界の名門オーケストラと共演を重ねてきた。シューベルト・チクルスは2016年、ウィーンで行い、絶賛された。「取り組めば取り組むほど、その先に行きたいという気持ちが湧いてくる作曲家。今の私にとってそれがシューベルトなのです。なぜならシューベルトの作品は本当に多彩で、音楽的、哲学的、文学的な創意にあふれています」と話した。

宮本文昭の気軽に話そう ゲスト 安倍圭子 マリンバ
 3月22日に傘寿(80歳)記念の演奏会が開かれる日本を代表するマリンバ奏者の安倍圭子。出演した世界のフェスティバルは60カ所以上、マスタークラスで指導した音楽大学は115校、世界初演した作品は290曲以上など驚異的な記録の持ち主。マリンバのパイオニアとして音楽シーンを開拓してきた。「クラシック音楽の世界で認めてもらえない時期が続きました。第1回目の新作リサイタルやレコードも文化庁(文部省)の芸術祭に応募しましたが、最初は『マリンバは大衆芸能の楽器だから』と断られました。『こんなに素晴らしい現代音楽の作曲家たちが曲を書いていますから』と訴えかけて、ようやく受け入れてもらったほどです」と当時の苦労を話している。


このほか
◎青島広志の「ブルー・アイランド版音楽辞典」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎「鍵盤の血脈 井口基成」中丸美繪
など、おもしろい連載、記事が満載です。

次号予告
2018年3月20日(火)発売の2018年5月号は「ブラームスを聴き直す」を特集します

お楽しみに~

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