【発売情報】
本日、モーストリー・クラシック2016年6月号が発売になりました
同時に、Webサイト http://mostly.jp/ も更新。目次、おすすめアーティストなどチラ読みができるほか、バックナンバーのページでは、デジタル書籍も購入できます。ぜひ、サイトにお立ち寄りください
【モーストリー・クラシック6月号の主な内容】
表紙 「ロメオとジュリエット」フランク・ディックシー画
特集
文豪とクラシック シェイクスピア没後400年
今年はシェイクスピアが亡くなって400年になる。シェイクスピアの劇作はクラシックにも大きな影響を与え、オペラ化された作品は300曲にもなるという。管弦楽、バレエなども合わせると数え切れないだろう。
オペラで最も知られているのはヴェルディの3作品。「マクベス」「オテロ」「ファルスタッフ」。「マクベス」はヴェルディの「最愛の作品」で、10作目のオペラ。1847年に初演された。原作の改作が当たり前だった当時、イタリア・オペラとしては珍しくほとんど原作に忠実にオペラ化された。ロッシーニにも「オテロ」があるが、こちらは原作とはかなり隔たっている。ヴェルディの「オテロ」の初演は1887年。「ドラマの中に投げ込まれる快感が、初めから終わりまで驚異的な緊張感とともに続く」と音楽評論家の加藤浩子氏。「ファルスタッフ」はヴェルディ最後のオペラで、レパートリーに残っている唯一の喜劇。指揮者リッカルド・ムーティが「コシ・ファン・トゥッテ」とともに「無人島に持って行きたいオペラ」にあげている。
なぜヴェルディはそこまでシェイクスピアに魅了されたのか。河合祥一郎・東京大学教授は「ヴェルディはシェイクスピアを深く理解していたようだ。おそらくシェイクスピアに自分と同じものを感じていたのではないだろうか。どちらも壮大な人間ドラマを描くスケールの大きな芸術家だ」と記している。
ドイツの18、19世紀の文豪といえばゲーテとシラー。ゲーテのほうが10歳年上で1749年生まれ。シラーは1805年、ゲーテは長生きし1832年に亡くなった。2人は親友で、ゲーテはシラーが亡くなると「自分の存在の半分が失われた」と嘆いている。
ベートーヴェンの交響曲第9番「合唱付」の第4楽章「歓喜の歌」はシラーの詩が使われている。「すべての人々は兄弟となる」と人類の絆と愛を歌っており、ベートーヴェンの思想でもあるのだろう。シラーの劇作もヴェルディがオペラ化している。「ルイーザ・ミラー」「ドン・カルロ」「オルレアンの少女」などがある。ゲーテは、詩人で劇作家であるばかりでなく自然科学者、そして有能な政治家でもあった。ゲーテの「ファウスト」は作曲家を刺激し、たくさんの作品が生まれた。シューベルト「糸を紡ぐグレートヒェン」、ベルリオーズ「ファウストの劫罰」、シューマン「ファウストからの情景」、リスト「ファウスト交響曲」など名だたる作曲家が創作の糧とした。
このほか、特集は◎「ロメオとジュリエット」の作曲家たち◎シェイクスピア劇の音楽と同時代の作曲家◎オペラのリブレットと台本作家の仕事◎ワーグナーが文学から得たこと◎マーラーと文学◎チャイコフスキーとロシア文学◎日本文学とオペラ、などを取り上げている。
特集で紹介したDVD、CDのプレゼントもあります
BIGが語る サイモン・ラトル 指揮
5月にベルリン・フィルと来日、ベートーヴェン・チクルスを行うサイモン・ラトル。芸術監督兼首席指揮者を2017/18年シーズンで退任することが決まっており、今回の来日が両者の組み合わせの最後になるかもしれない。公演前日の5月10日に発売される「ベートーヴェン交響曲全集」の特典映像「ラトル、ベートーヴェンを語る」の一部抜粋を掲載している。ラトルは「全曲を演奏してみて分かったのは、このチャレンジに終わりはないということです。ベートーヴェンには多くの真実が隠されていますが、どの解釈が絶対的に正しいということはないのです」などと語っている。
小澤征爾、7年ぶりにベルリン・フィルに帰還
小澤征爾が4月8日と10日に行われたベルリン・フィルの定期演奏会を指揮した。食道がんの手術と療養生活を経て、日本では指揮活動を再開していたが、ベルリン・フィルには7年ぶりの登場となった。また今年は、小澤が1966年にベルリン・フィルにデビューしてちょうど50年の記念の年。演奏会の前日、ベルリン・フィルは小澤に名誉団員の称号を与え、フルトヴェングラーの書き込みがある「トリスタンとイゾルデ」のスコアを贈った。コンサートで指揮したのはベートーヴェンの「エグモント」序曲と「合唱幻想曲」。終演後は満員の聴衆から喝采が浴びせられた。
このほか
◎青島広志の「ブルー・アイランド版音楽辞典」
◎外山雄三の「オーケストラと暮らして60年」
◎小山実稚恵の「ピアノと私」
◎宮本文昭の気軽に話そう ゲスト 田部京子 ピアノ
など、おもしろい連載、記事が満載です。
次号予告
2016年5月20日(金)発売の2016年7月号は「サントリーホール30周年と世界の名門ホール」を特集します。
お楽しみに~